CASE STUDY NEC(日本電気株式会社) - 事業継続計画(BCP)立案、実施

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NEC(日本電気株式会社)の事業継続計画(BCP)の立案と実施の事例をご紹介します。大規模地震や自然災害などのシステム中断リスクに備えた事業継続計画、災害復旧のために専用システムの構築と運用、災害対策、防災意識啓発などを実施。被災地域の業務従事者の安否確認やeラーニングなど様々な機能を採用し、普段から災害に備えるための事業継続支援システムです。NECおよびNECグループで働く従業員14万人以上、さらに各種プロジェクトに参画している協力会社スタッフの災害時の安否確認や復旧活動指示を手作業で行うには限界があることが明白なため、システムによってスムーズに事業継続を行える仕組みを整えています。

OneNEC事業継続支援システム(※)の構築・運用で災害時への備えと社員への防災意識啓発を図る。

※NECグループの社内システムの呼称です。

大規模地震などの災害によるシステム中断などのリスクに備えて実効性のある事業継続計画(BCP)を立案、実施することは、今や企業にとっての最重要課題。中でも、国内外でITとエレクトロニクスを中心とした多彩なソリューション事業を展開しているNECでは、事業継続について様々な対策に力を注いでいます。
その根幹となるOneNEC事業継続支援システムがH-IXで運用されています。OneNEC事業継続支援システムをH-IXで設置・運用している理由についてお伺いしました。

NECの事業継続を支えるシステム

日本電気株式会社(以下NEC)では事業継続の観点から、長年にわたって総合的な災害対策計画の推進に取り組んできました。08年からは事業継続の根幹となるOneNEC事業継続支援システムを開発・導入しています。「災害時等において事業を継続するためには誰が、何をできるか把握することが最も基本的で重要な要件です」と福地マネージャー。社員1人ひとりに関する安否情報を正確かつ迅速に把握し、事業再開に向けて指示を出せることが必要不可欠。それを支援するのがOneNEC事業継続支援システムです。

NECおよびNECグループ(328社/平成21年3月末現在)で働く人員は、従業員14万人以上、さらに各種プロジェクトに参画している協力会社スタッフをあわせると膨大な数となります。安否確認や復旧活動指示を手作業で行うには限界があることが明白なため、システムによる対応が求められました。高橋シニアエキスパートは「計画の推進、システムの構築は、全社一丸となって取り組まなければ実現できない大変な作業だった」と振り返ります。
こうして出来上がったシステムは、今では事業継続ソリューションサービスとして事業化されています。

安否の確認や地図情報、eラーニングなどがリンクした多彩な機能

NECのOneNEC事業継続支援システムは、従業員およびその家族等の安否確認、出社できる状況かどうかなど対象者を絞っての情報確認、災害に対する教育システムまで多彩な機能を持っています。
社外にいる場合の安否確認の方法は、被災地域の業務従事者が能動的に携帯電話やパソコンなどで安否状況を登録します。
情報を一方通行にすることで、通信負荷をかけないメリットがあります。また災害時には、道路の陥没など被災地の状況を詳細に情報提供。通行不能な場所を地図で明示しながら、安全で最短距離のルートを確認することができます。
これは土地勘のない場所へ復旧に駆けつける際にとても有効です。
さらに、全国の各事業所にはリモートコントロールで操作できるカメラを設置して、万一の際、本社に設置する災害復旧対策本部から被災状況の確認や被災者の捜査などもできるようになっています。
「常時5,000人以上の人が働いている事業場(工場)や本社内にいる場合の安否確認は、1人ひとりが社員証や入館証を携行し、各フロアなどに設置してあるカードリーダーに読み取らせるシステムなので、誰が、いつ、どこにいたかを把握することができます。
それによって、災害時に社内にいて連絡が途絶えた人がどのあたりにいるか推測して救出に向かうことができます」と、掘エキスパート。
こうしたシステムを十全に機能させるために、電話回線やイントラネットはもちろん、インターネット、通信衛星など多様な通信インフラを整備しています。

首都圏との同時被災の確立が少なくファシリティに優れたH-IXデータセンターを採用

NECの事業継続の中核を担うOneNEC事業継続支援システムの運用にあたり、7つのデータセンターから選定をおこないました。「選定にあたっては重要な3つのポイントがありました。第一は本社(東京)と同時被災の可能性がない遠隔地にあること。第二に建物の堅牢性、電源、空調などのファシリティ、セキュリティ、コスト面が要件を満たしていること。第三に、セキュリティ対策が万全であること。安否情報は個人情報の固まりであることに加え、特に、災害発生直後は、通信システムをはじめ様々な混乱が予想されるだけに、情報を安全に管理・運用することが重要となります。」と福地マネージャーは選定条件を説明します。

H-IX採用に理由について、システム草案時から携わる高橋シニアエキスパートは「自社設備での運用も初期段階で検討しましたが、データセンター選定の用件を考慮した結果、アウトソーシングが最適との結論に至りました。NECとしては初めてシステムを社外で運用するにあたり、とても厳しい目でデータセンター選定にあたりました。中でもH-IXのある札幌は全国的に見ても自然災害リスクがとても低い地域にありますし、北海道電力グループとしての堅固な電源への安心感など、選定条件をクリアしていました」と語ります。また、矢部マネージャーは「OneNEC事業継続支援システムに何かトラブルが生じた場合も、私をはじめ北海道日本電気ソフトウェアのSEがすぐに駆けつけて復旧できる環境にあることも理由のひとつです」とH-IXとの連携のしやすさを語ります。

ふだんから災害に備える意識教育ソフトも開発

H-IXデータセンターで安定運用しているOneNEC事業継続支援システムですが、システムの充実だけでは事業継続対策は万全とはいえません。「災害が起きたとき、1人ひとりが、どう行動するかによって被害状況は大きく変わります。予期せぬ状況に陥ったときにも、正しい行動がとれるように普段から備えることが不可欠」と、堀エキスパートは語ります。

災害時マニュアルを配付するだけではなく、いざという時の正しい判断が身につくように災害時の行動をゲーム感覚でシミュレーションできる教育ソフトも開発。

また、NEC全体で年に3回大規模な災害対策訓練を実施しているほか、各ビジネスユニットごとに小規模な訓練を繰り返し実施して災害に対する意識向上と正確なオペレーションが実行できるように取り組んでいます。

NECでは、さらに事業継続に力を注ぎ、開発したソリューションシステムなどを社会に還元していく方針です。

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